キュウリは糠漬けが好きです
またひとつ失ってしまいました。
うっかりゴルフデビューしてしまいました、カナダで。
面舵いっぱいで回避したいおっさん像のひとつに、
「休日をゴルフで過ごすおっさん」があります。
入社したての頃、
「お前もそのうち偉くなるんやから、ゴルフぐらいやっとかないかんぞ。(訛り)」
と諭す職場のおじさんに、
「そんな出世なら願い下げですよ。」
と若さと、痛さ丸出しの返答をした事もありました。
ゴルフおじさんはマイナスイメージの象徴であり、唾棄すべきものでした。
大学の体育の授業の選択肢にも「ゴルフ」なんてあったけど、
「そんなもの選択して、自ら志願して企業の奴隷になる準備か、幸せな奴だ。」的に考えていました。
それは良くも悪くも棘。
初春の土手に生える土筆から出る灰汁であり、真夏の畑に生る胡瓜の肌の様なトゲです。
カマキリ閣下のサングラスとアロハは中二病だけど、とにかく若さの象徴です。
「今週あたり、行こか?(素振りモーション付き)」
「えーね、行こか。」
なんて会話絶対参加したくないと思っていました。
「いえ。僕はゴルフやったことないので。」
と未経験を理由に断るシーンを描いていました。
でも何を間違ったか。
日曜日の僕は、ジーンズにスニーカー、ランニング用に持ってきたウィンドブレーカー、
というわけの分からない有り合わせの出で立ちで、6番ホールのバンカーの上に立っていました。
「うん。このホール、PAR狙えるかもしれないっす。」なんて話しながら。
もう僕にゴルフやらない人だから、と言って逃げる資格はない。
「来週ゴルフ行こみゃー。(訛りすぎ)」
に対して
「行っちゃいますか。(素振りモーション付き)」
って答えるしかないんです。
職場の、痛風でゴルフをやめたおじさんから貰ったクラブを担いで、
爽やかに二度寝してベッドの上で過ごすべき日曜日の朝を、
高血圧で朝が得意なおじさん達とグリーンの上で過ごしてしまうんです。
ノリとか流れっていうのは本当に恐ろしいものです。
いつの間にかコーヒーがブラックになり、二杯目が焼酎になり、就活で髪の毛が短髪になってきたように。
気が付いた時に僕は、パチンコが趣味で、キャバクラ好きで、飲み会の二軒目はフィリピンパブに行くおっさんになっているんじゃないかと、本気で不安になりました。
土筆は灰汁を抜かないと食べれたものじゃないし。
胡瓜は板擦りされてから料理されるものだけれど。
それでも、注意して生きてゆきたいものです。
そして悔しいかな、悪くないんだよね。ゴルフって。