必要は発明の

 この前、会社で50歳近くのおっさん二人が信じられない事に一生懸命になっている光景を見た。


 パソコンの前で「これでいいのか?」「これじゃマズイだろ」となにやら辻褄合わせに一生懸命になっている二人。どうせ何かの報告資料に適当な事デッチ上げてるんだろう、と思っていたのだけれど(それも相当マズイけど)違うらしい。画面には給与明細の印刷用プレビューが映っている。 このオッサン達、信じられない事に給与明細を書き換えているのだ。「え!?給与明細って細工できるんですか?」と驚いて尋ねると「おー楽勝だぞ、フォーマット作ったからな。」と少し誇らしげなおっさん。


・・・つくった?
 確かにうちの会社は自分でプリンターを使って印刷する方式なので紙は普通のA4用紙だ、出来なくもないかもしれない。唖然とする僕を尻目におっさん達の真剣な偽造作業は続く。しかし、おかしい。いくら偽造したところで口座に振り込まれる金額に変化があるわけではない。
 はー、さては第二口座に自分のヘソクリ振り込んで、それを家族に隠してるんだな。まあ、自分の小遣い少しくらい増やすんだからかわいいもんだよな。そう思って聞いてみると更に驚きの答えが返ってきた。「違う」どうやらこのおっさん、遊ぶ金欲しさで奥さんに内緒で会社から借金をしてしまい、それを給与天引きで引かれているとのこと。もちろん明細にもキッチリその金額が載っているのでその項目を削除して、手取りが合うように他の天引き部分に上乗せしているというのだ。


 「税金はあまりやると疑われるからな、保険とか積み立てとかに乗せるといいんだよ。」幾度の失敗を経て学んだであろう教訓まで伝授している、もはやプロだ。自らの欲求と家庭円満を必死に両立させようとする姿に感心しつつ、笑いをこらえて立ち去ろうとした僕におっさんが一言「ボーナスバージョンもあるんだぞ。」


そうですか、賞与にも対応ですか。中年パワー恐るべし。




あ、本・・れんずしかコメントなし。まあ、こんなもんだよな。
>レンズ
「カメレオンのための音楽」読んでみようかな。