ヤンエグ君

昨日の夜、見るともなしにTVをつけたら「カンブリア宮殿」をやってた。
見たのは少しの間だったから、内容まではよくわからないんだけど。
丁度僕が見たシーンでは都心のレンタルオフィスに入った人の感想が流れていたんだ。


そのレンタルオフィスってのは、どうやらマンガ喫茶の個室を少し大きくした程度の部屋を貸し出すサービスみたいなのね。
んで、いかにも何ていうの、こう「ヤンエグ」ってやつ?まあ死語だけど。
いわゆるヤングエグゼクティブです的な格好をした男が、そのレンタルオフィスに入居した感想をカメラに向かって喋ってるんだ。


で、まあそこまではよくある構図だ。
なんとなく仕事のできそうな男が、なんとなくそれっぽいことを言っている。
それはいいんだ。


そのヤンエグ君の口から出てきた言葉に僕は耳を疑った。
「(レンタルオフィスを借りたことで)夜通し働けるようになって、生産性が向上しました。」
とか言ってんだ。


これは、おかしいよね?
一般的にどう理解されるかわからないけれど。
少なくとも、僕はそれは生産性の向上とは言わないだろうと思うんだよね。
彼の仕事っぷりを知っているわけじゃないんだけど、おそらく彼は「今までに比べて長時間働ける環境を得ました」っていう事を言いたかったと思う。
で、別に長時間働いても、仮に以前は1日10時間働いていて、そのオフィスを借りてから1日15時間働くようになって、そして以前に比べて1.5倍の成果をあげるようになった、って言っても生産性は上がってない。同じだ。


生産性が良くなるって言うのは、能率を上げて同じ成果を少ない投資で成し遂げるとか、そういうことを言うと思うんだ。
このヤンエグ君のいう生産性の向上が正しいとすると、最近は鳴りをひそめている「ホワイトカラーエグゼンプション」なんかが実施された暁には大変な事になってしまう。
「成果が出ていない!徹夜で働け〜!まだやれるぞ!」
って話になってしまう。


ということで、彼の言う「生産性の向上」は間違いだと思うんだけど、彼が間違った事を言ったと言いたいのではなくて。
TVでなんとなくそれを見て、無意識のうちに、そうやって働くことが「生産性の向上」なんだと刷り込まれてしまう人がいたり、それは違うんじゃない?って疑問を抱かない人が多いであろう事は、憂うべきことかなと思う。
もっとも、こうやってTVにイチャモンつける俺もどうかと思うけど。