なんだか苦しんでいるおっさんへ

飲みの場で言うことでもないし、飲む機会もないし。
だらだらと話をする時間があるわけでもないので、この場で発信してみる。
なんだか最近苦しんでいる感が一層激しくなった気がする友へ。


就職した直後、僕が苦しんでいた頃を思い出します。
いや、正確に言えばそんな入社1年目の小僧の頃の、苦しみと比較するのは失礼かと思うけれど。


「やっぱ日本はものづくりでしょ!」と望んでついたメーカーでの仕事。
会社の体質からして、面談での「現場に近いところにしてください。」の台詞が生きていたとは思えないが、かなり現場に近い職場に配属された。(あえて差別的な表現をとるけれど)周りは高卒しかいない、もともとライン工だった人もいる、もちろん男だけ。「給料返せ」とリーダー級を罵倒するのが日常のブチ切れ系の上司(もちろん高卒)。まわりにゃ悩みを分かち合ってくれる先輩や、尊敬する上司なんて見つけられやしなかった。
希望に燃える、華奢な大卒新入社員をノックアウトするには十分な環境。
そもそも、訛りがきつかった。ここに近い地域で6年間過ごしていたし。なんてのは全く関係ないもっと汚い訛りだった。その上、会話が妙にかみ合わないのだ。「てにおは」がおかしいのは脳内補完すれば良いとしても、論理だって物事を伝えることを出来ない人ばかりだった。そうそう、配属1ヵ月後には災害派遣に廻されて1ヶ月間民宿で職場の人と共同生活(雑魚寝)、残業150時間超えたっけ。
そんな職場。
住環境は、寮だった。12畳仕切りなしの和室に男二人、便所共同、風呂共同。
今じゃ考えられないね。30年前にタイムスリップしたかと思った。
会社としても、増収減益で明るい話題に事欠いていた。
「ああ、俺の島耕作ライフはどこへ行ったのだろう?」そんな、入社1年目だった。


でもね、逃げられないよね。
次の職のあてもない状態で、逃げるなんて。
精神的にも、物理的にも、もっと悲惨な状態になることがわかっていたから、そこに留まって成長するしか道がなかった。
ぼつぼつと去っていく同期を横目にね。
そうして耐えながら、ひと月に1回は東京に飲みに帰ってガス抜きしてた。
それが唯一の救いだった。
まあ、これは今もそう変わらないか。


仕事も、まったく意味がわからなかった。
でも楽しくなるまでは、楽しくならないにしても「楽しさ」が何なのかを知るまでは逃げるまい、と誓った。
あの頃は、帰宅してからも仕事に纏わる本を読んだり、英語の通信教育に取り組んだり。
歩く自己啓発状態に自ら追い込んでいた。「そうしないとこうなっちゃうぞ!」て感じの反面教師が周りに沢山いたから。
あとはたまに、村上春樹の小説に逃げたり。どっちにしても、そんなどよ〜んとした感じ。


おかげさまで、今は少し見えたと思います。
「弛んでるな」と感じるくらい、今は普通に生活してます。
海外出張だっていっぱい行って、社内教育の講師なんかもしてます。
まだまだ未熟だけれど、それなりに楽しんでます。



「俺、結婚できなくてもいいと思ってるんだ。この仕事をやってる以上、難しいし。」
そんな台詞を吐きながら、立ち向かっているおっさんは凄いと思います。「今やってるのは本当に俺のやりたいことじゃないんだ。一番避けたかった場所なんだ。」といいつつ、スゲー責任感で立ち向かっているんだろうと思うと、わが身を省みて身が引き締まります。
ついでにおっさんの腹を見ても「明日は我が身」と引き締まります。


最近本当に思うんだ。やっぱりね、人間一つのこと愚直にやってかなきゃ駄目だって。
その点リーマンは結構つらいんだよ、配属しだいで何屋にだってならなきゃなんねー。
まさにめぐり合い状態。決められん、避けられん。
俺は幸い、比較的専門的な分野に当たって、そこを掘り下げてく気になった。
でもそうする気になれずに、なんとなく今を生きてしまっている人だって沢山いる。
「僕、サラリーマン向いてないんだと思います。」って弱気な発言をする後輩に、「サラリーマンに向いてる人間なんていないんだよ。」って応えた立派なリーマンがいました。なかなかの名ゼリフだと思います。そんな感じで、リーマンは専門職の人と違った苦しみを味わいます。
おっさんは、その点自分で道を決めている。なかなかできることじゃない、少なくとも俺には出来なかったからな。もちろんその専門領域の中でも、コレは違う、コレじゃない。って希望と配属のミスマッチはあるでしょう。
そう言われてしまえばそれ以上何も言えませんが、僕にはそれが決定的な路線の違いには見えないし、大なり小なり糧にはなるように思える。


とにかく、おっさん。苦しそうだけど、がんばって下さい。やっぱり、もがくしかないよ。
僕はマゾヒストではないけれど「やっぱ人間苦しみがないと成長できない。」と思う。
そして「近頃俺は全然苦しんでないな。」と。
今笑って暮らすことも大切だろうけど、それが故に先々で泣くようなことはとても嫌だし。


一部、プライベートなセリフ晒して、ごめんなさい。
今度ストレス解消にバンジージャンプでもしましょう。
暑中見舞いでした。